マンションの眺望に関する判例 2つのケース

マンションを購入する際に、
眺望
は大きな要素を占めています。

しかしながら、マンションを購入した後に
眺望を遮るような建物が建った場合
には、日々の居住性はもちろんのこと、そのマンションの資産価値にも影響してきます。

実際、マンションを購入後、眺望を遮るような建物が建ったことにより、
裁判になった事例
もあります。

実際の判例では、どのような解釈になるのかを確認していきましょう。

判例は、RETIO判例検索結果のページから2つの判例をピックアップしています。

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目次

大阪地判 平24・3・27 判時2159-88のケース

https://www.retio.or.jp/case_search/pdf/retio/88-120.pdf

原告(マンションの購入者);
平成17年5月から平成18年7月にかけて物件購入、平成18年9月30日ころ、物件の引渡し。

被告(不動産販売会社);
平成19年2月9日、A市が所有していた本件土地を競争入札により落札。
平成21年9月27日ころ、本件土地上に24階建の本件マンションを建設する計画を公表。平成23年9月ころ、本件マンションは完成。
(本ケースでは、原告の居住者が購入したマンションの販売会社と、眺望を妨げるマンションの販売会社が、同一の会社であった)

告訴内容;売買契約の付随義務違反、眺望に関する説明 義務違反

結果棄却(マンション購入者の訴えが棄却)

判例解釈のポイント

・本物件のエリアが、「高度地区」という高い建物が建ってもOKのエリアであり、将来、眺望が妨げられる可能性がある地域であった点。

・マンションのパンフレットに、眺望に関するセールスポイントの記載がなかった点。

・売買契約の際の重要事項説明書に、周辺環境は将来変化する場合があること等についての記載があり、原告の署名捺印もなされている。

ポイント

将来、マンションの眺望に影響するような建物が建つかどうかは、予測がつきません。
ですのでその前提で判断をする必要があります。

また、担当者の説明についても、そういったことを踏まえた上、
説明内容が事実と異なる場合は注意が必要
です。

また、眺望に関係するエリアの
用途地域や地区計画などの指定
によって、高い建物が建つ可能性の程度はチェックはできます。

福岡地判 平18・2・2 判タ1224-255のケース

https://www.retio.or.jp/case_search/pdf/retio/67-076.pdf

新築マンションの購入者(平成15年8月に売買契約を締結)が、物件の工事の覆いが外れたタイミングで、
ベランダの前方数メートルの位置に電柱があり、送電線が3本水平にあることが確認
できた為、本件売買契約を解除した。

不動産販売会社;
電柱の存在は、不利益事実にも該当しないと主張し違約金を請求。

マンションの購入者;
契約の取消し、手付金及びオプション工事代金の返還、慰謝料の反訴請求を行う。

結果;不動産販売会社の請求を棄却し、マンションの購入者の請求を一部容認。

判例解釈のポイント

・完成前の物件については、販売会社は、可能な限り正確な情報を提供して説明する義務がある。
また、パンフレットに「全室オーシャンビューのリビングが自慢です」との記載あった。

・マンションの3階部分と5階部分を比較検討しており、Xの販売担当者に眺望の差異を確認したところ、差異はないと説明を受けていた。

ポイント


低層階の住戸の検討は、眺望に支障がでるリスクがあるので、注意が必要。
・業者から説明を受けた内容のうち、重要なポイントは重要事項説明書の中にも明記しておくと安心です。
・このケースのように、眺望をセールスポイントと明記している物件の場合、引き渡し時に眺望に関する障害がある際は、事前の説明内容と異なるという解釈される場合が多いと言えます。
但し、そういった解釈が将来にわたってなされる訳ではありません

以上、マンションの眺望に関する判例のついての説明でした。

(この記事について)
この記事は、不動産会社である「株式会社クラスイエ」[宅建業 千葉県知事(1)第17909号]が、不動産売買の実務経験を基に記載しています。

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