
マンション売却時の
売却価格の設定
を検討する際、マイナス要因となる事項があれば知りたい。
こんなテーマに関する記事です。
マンションの売却価格の設定時には、直近の売買相場や推移を参考にします。その際に、その物件のマイナス要因があれば、それらの事項も考慮して検討します。その内容についてわかりやすく解説します。

マンションの売却を行う場合に、最も、重要なポイントは、
売却価格をどれくらいに設定するのか?
ということになります。
売却価格自体は、そのマンションや、近隣の類似の物件の直近の成約事例や、その推移などを参考に検討していくことになります。
では、マンションの売却価格に影響を及ぼすような要因とは、どのようなものがあるのでしょうか。
駅からの距離といった交通の便はもちろん、それ以外に、主なものとして、
・告知事項の有無
・その物件の階
・周辺環境
などがあります。
下記に順に解説していきます。
告知事項の有無

告知事項というのは、
買主さんに、事前に伝えておくべき事項
になります。
具体的には、
・物理的瑕疵
・心理的瑕疵
・法律的瑕疵
があります。
物理的瑕疵
不具合箇所に関しては、
建物に関する瑕疵(建物に何らかの不具合がある状態)
が対象となります。
一般的な物理的瑕疵としては、
・雨漏りや水漏れ
・壁面のひび割れ
・シロアリ被害
・給排水管の不具合
・耐震強度の基準を満たしていない
といった事項を上げることができます。
マンションの場合、戸建てと違って、建物の瑕疵がある物件は少ないと言えます。
しかしながら、古い物件などで、壁面のクラックなどが原因で、雨浸みがあるようなケースもあります。
また、給排水管に関しては、専有部分に関しては、所有者の責任になります。
耐震強度に関しては、1981(昭和56)年5月31日以前の建築確認の物件は、
「旧耐震基準」
となります。
マンションによっては、耐震補強の工事をしているケースもありますが、大半の物件は、していません。
過去に耐震補強の工事をしているかどうかは、管理組合に確認の上、把握しておくようにしましょう。
こういった不具合があった場合は、
販売価格を設定する際の「マイナス要因」
となります。
また、
設備に関しての動作不良や不具合
に関しても、告知義務がありますので、事前にリストアップしておく必要があります。
心理的瑕疵
心理的瑕疵とは、
買主が嫌悪感や抵抗を抱くような事項
のことです。
具体的には、
・殺人・事故死・自殺などの事件や事故
・近隣に指定暴力団構成員等が居住している、あるいは、迷惑行為をする人がいる
といったことです。
こういったことも、平穏な生活をする上で、障害となる事由となりますので、告知義務の対象となり、結果、販売価格を設定する際の「マイナス要因」となります。
法律的瑕疵
これは、建築物は、法律に抵触しているような場合です。
具体的には、
「建築基準法」や「都市計画法」
といった法律に違反しているかどうかということです。
ただ、現実的には、
物件が建築された時点では、建築確認を取得して建築がなされている
ということになりますので、その時点での違反は、ほぼ無いと言えます。
しかしながら、建築後の状況で、違反となるケースがあります。
具体的には、
既存不適格物件の状態
あるいは、
建築違反となっている状態
といった場合です。
既存不適格物件の状態
新築時には適法だったものが、現在の法律や条例では、不適合状態になっている場合です。
例えば、都市計画法の用途地域の設定や、高さ制限等、条例などのルールが変更になった場合に起こりえる状態です。
この場合は、違法建築という扱いではなく、「既存不適格物件」という扱いになります。
「既存不適格物件」の場合、可能性として、建て替え予定となった場合に、同様の規模での建て替えができない可能性があります。
建築違反となっている状態
建築違反となっているケースとしては、
建築後に、敷地の一部が売却されたような場合
に起こりえます。
実際の事案としては、
マンションを分譲した会社が、マンションの完成後に、駐車場用地としていた敷地の一部を売却
したために、
容積率(敷地に対する建物の延べ面積の割合)
が減少してしまい、建築基準法違反となってしまったというケースがあります。
この場合、建物自体も違法建築となり、また、マンションの購入時に、
住宅ローンの融資が受けられない
という深刻な事態を招くことになります。
銀行としては、違法建築物の購入の為の融資はできないということになります。
ケースとしては、少ないですが、過去に敷地の一部が売却されているような場合は、要注意です。
その物件の階

マンションを購入する際に、重要視する事項のひとつに、
眺望
があります。
国土交通省の「マンションを取り巻く現状について」 の報告書では、「マンション購入時に考慮した項目」に関して、
・駅からの距離などの交通利便性;72.6%
・間取り;63.7%
・日常の買い物環境;52.8%
・周辺の医療・福祉・教育等の公共公益施設の立地;39.4%
・眺 望;32.1%
・周辺の自然環境;28.5%
(以下省略)
眺望に関しては、
5番目
の順位となっています。
ですので、マンションの下の階層の場合、
眺望を重視するケースが多い
ということを考慮すると、マイナス要因となってしまいます。
また、1階の場合は、セキュリティー面のこともあり、ニーズが低くなる場合が想定されます。
周辺環境

周辺に、いわゆる「嫌悪施設」と呼ばれる施設があった場合も、マイナス要因となります。
「嫌悪施設」とは、一般的に、
自分の家の近くには無いほうが良い
と言われる施設です。
英語では、
NIMBY(ニンビー)
と呼ばれ、“Not In My Back Yard”の最初の文字をつなげた言葉になります。
意味合いとしては、
「施設の必要性は認めるが、自らの居住地域には建てないで欲しい施設」
となります。
具体的には、下記のような施設が該当します。
騒音や振動の発生
→高速道路等の主要道路、飛行場、鉄道、地下軌道、航空基地、大型車両出入りの物流施設 等煤煙や臭気(悪臭)の発生
→工場、下水道処理場、ごみ焼却場、養豚・養鶏場、火葬場 等危険を感じさせる
→ガスタンク、ガソリンスタンド、高圧線鉄塔、危険物取扱工場、危険物貯蔵施設、暴力団組事務所 等心理的に忌避される
重要事項説明における「嫌悪施設」の調査範囲(不動産流通推進センター)
→墓地、刑務所、風俗店、葬儀場 等
こういった施設が近隣にあった場合、残念ながら、売却価格へのマイナスの影響があると言えます。
まとめ

マンションを売却する際の価格設定は、なかなか悩ましいものがあります。
しかしながら、しっかりと、根拠をもって検討することで、
売却した後に、「ちょっと安すぎたのでは?」という後悔
するリスクを回避できます。
不動産担当者の提案は、あくまで参考として、十分に納得のいく価格を設定することが大切になってきます。
その際に、高い金額を設定すれば良いということではなく、
一定の期間内に、成約に結びつくことができそうな、現実的な価格
を検討することが重要となります。
売却価格を決める際には、そのマンションや周辺の売買相場を前提に、
その物件のプラス材料
はもちろん、
上記に記載したようなマイナス材料
があれば、客観的に判断して検討することが大切となります。
以上、マンションの売却価格に、マイナスの影響を及ぼす要因についての解説でした。
