
マンションの売却を考えているんだけど、
マンションの権利書を紛失
してしまった。
その場合、売却自体はできるか?
こんなテーマに関する記事です。
この記事の内容▼
マンションの売却を予定している際に、「権利書(登記識別情報)」がどうしても見つからない。。そんな場合の対処の方法について、説明しています。

マンションの売却を具体的に進める際に、事前に、
「権利書」(登記識別情報)
の確認も必要となります。
ただ、場合によっては、紛失してしまうようなケースもあります。
結論から言うと、
事前に対処しておけば、物件の売却(所有権の移転)は可能
です。

「権利書」(登記識別情報)を失くしていても、
事前にわかっていれば、対応可能です。
下記に不動産売買の流れ、権利書の内容とあわせて、対処法について説明します。
権利書は、どのタイミングで必要となるのか?


不動産売買の際の流れとしては、概ね、下記の流れとなります。
このうち、
STEP5;「決済(残金の受け取り)、物件の引き渡し・所有権の移転」
のタイミングで、
「権利書」(登記識別情報)
が必要となります。
通常、決済の際には、司法書士さんが同席し、当日に法務局で所有権の移転手続きを行います。
「権利書」(登記識別情報)を紛失したことが事前にわかっていれば、予め準備して、対処することはできますが、「決済、所有権移転の当日」では、対応ができません。
必ず、
事前の対応
が必要になります。
また、決済の手続き上も、買主さんが住宅ローンを組んでいる場合、決済日当日に権利証が無いと、住宅ローンの実行ができずに、残金(売買金額から手付金を引いた金額)の受け取りもできないという事態になってしまいます。



売主の不手際で決済できないとなると、違約となり、違約金の対象となってしまうリスクがあります。
ですので、権利書がお手元にあるかどうかは、
事前にしっかりと確認しておく
必要があります。
また、不動産会社との媒介契約の際に、担当者が権利書を確認する場合もあります。
これは、権利書がお手元にあるかどうかと、その物件の所有者であることを確認する意味合いもあります。
また、権利書は大切なものですので、不動産会社の担当者が預かると言っても渡さないように注意してください。
必要な場合は、コピーを渡しましょう。
下記に、
「権利書(登記識別情報)」を紛失してしまった場合
の対処方法について、説明します。
また、稀に、
登記簿謄本を「権利証(登記識別情報)」と勘違いして、決済当日にお持ちされる場合
もありますので、その際の注意点についても、あわせて記載しておきます。
権利書(登記識別情報)とは?


権利書(登記識別情報)とは、「登記済証」や「登記済権利証」と呼ばれる書類のことを言います。
これは、新たな所有者が不動産を購入し、所有権移転の登記手続きした後に、法務局から発行される書類のことです。
「登記済証」は、その物件の所有者しか持ちえない書類ですので、大切なものです。
人によっては、「命の次に大事なもの」とおっしゃる方もおられます。
また、平成17年の不動産登記法改正により、「登記済証」は、
「登記識別情報」
に切り替わりました。
このことにより、権利書の名称とともに、その体裁も変わりました。
もちろん、平成17年の不動産登記法改正以前の「登記済証」も、そのまま使用することができます。
「登記済証」は、通常、薄い和紙のタイプの紙が使われていて、それが複数ページあり、綴じられたもにになっています。
そして、後ろのページに受付日及び受付番号とともに法務局の赤い大きな印が押されています。




それに対して、「登記識別情報」は、一枚のみの書類になっており、上部に物件の内容が記載されていて、下部に、シールが張られた箇所があります。
シールは剥がしてはダメです。
シールを剥がすと、12桁の番号が記載されていますが、これは、パスワードになっており、物件を所有する本人の確認の為に使用します。
ですので、その番号を第3者に知られてしまうことを防ぐ為にシールが貼られています。
シールを剥がすと、元にもどせませんので注意しましょう。
※パスワードは、不動産を売却する場合、住宅ローンの借り換えを行う時に使用します。


「登記識別情報」へは、平成17年の不動産登記法改正で変わりましたが、システムの準備などの関係で、数年は、従来の「登記済証」が使用されています。
「登記済証」と「登記識別情報」の画像サンプルは、下記のサイトから引用しています。
権利証を紛失してしまった場合の対処方法


権利証を紛失してしまった場合は、事前に、司法書士さんに依頼することで、対応ができます。
権利証は、再発行できませんので、具体的には、
「本人確認情報の提供制度」
によって対応します。
これは、
権利証または登記識別情報通知書がない場合に、不動産の所有者が本人であることを書類および面談によって司法書士が確認し、「本人確認情報」を作成して権利証または登記識別情報通知書の代わりに添付する方法
です。
この場合、
事前に、司法書士さんによる本人確認
や、
法務局に提出する書類の作成など準備
が必要となります。
ですので、マンションの売却をされる予定の場合は、早めに依頼しておく必要があります。
この方法ですと、費用はかかりますが、決済日当日に、所有権の移転登記も行えます。
権利書がお手元に無い場合は、遅くとも、売買契約の取り交わしの前までには、不動産会社の担当者に伝えて、進め方を相談しておくことをお勧めします。
この他にも、権利書を紛失した際の対処方法として、
・事前通知制度
・公証人による本人確認制度
という方法がありますが、結論としては、スムーズに物件の売買を進める為に、司法書士さんに依頼することをお勧めします。
事前通知制度
ご自身で、法務局に申請して手続きをする方法ですが、申請日当日に所有権の権利移動の確認ができない為、マンション売買時の方法としては難しい。
公証人による本人確認制度
ご自身で、公証役場に出向いて手続きをする方法です。
手間がかかる上、万が一、不備などで契約書に記載されている決済日に間に合わないということになった場合、売買契約上、違約の対象になるリスクもあります。
いずれにしても、「権利書」が紛失したと思われる際は、早めに対応しておきましょう。



権利書(登記識別情報)の紛失の際には、司法書士さんに協力してもらうことになります。
【参考】「登記簿謄本」を「権利書」と勘違いしている場合


稀に、売主さんが、
「登記簿謄本」を「権利書」と勘違いして、決済当日にお持ちされる場合
があります。
この場合も、当日、決済できません。
結果、住宅ローンの実行ができませんので、残金の受け取りもできません。
また、買主さんや銀行にも迷惑がかかってしまいます。
場合によっては、
売買契約違反になってしまうリスク
もあります。
ですので、権利書の内容が不安な場合は、事前に、不動産会社の担当や司法書士さんに見てもらいましょう。
登記簿は、下記のような体裁の書類です。(権利書(登記識別情報)とは、書式が異なります。


上記画像は、下記サイトから引用しています。
まとめ


不動産の売買の際、
権利書は極めて重要な書類
になりますので、必ず、事前に確認をしておきましょう。
また、物件によっては、共有持ち分のあるケースもあります。
共有持ち分のある場合、平成17年の不動産登記法改正以前は、権利書は、1つでしたが、不動産登記法改正以後は、共同名義人ごとに登記識別情報が発行されるようになりました。
もちろん、どちらの場合も、所有権移転の際には、共同名義人ごとに、所有権移転の為の書面を作成することになります。その書面は、司法書士さんが準備して、各共同名義人が署名捺印します。



共有名義の物件の場合、権利書(登記識別情報)も複数存在しますので、注意しましょう。(平成17年以降)
その他、相続物件の場合も、必要な書類に関して、事前に司法書士さんに確認をとっておくと安心です。
以上、「マンション売却の際、権利書を紛失した場合の対処法」についての説明でした。

